観劇感想文

2019年観劇ログ*下半期

7月以降の観劇ログです。2019年は早めに観劇納めをしたので11月分まで。

17.PANDORA

海賊と天使の話。私はいったい何を見せられたんだ……? ってなった今年の優勝作品。直球で愛の話だったので情緒が追いつかなかった。あまりにも精度の高い純愛。

そもそも同じ世界のNEW WORLDも同じ世界観のFANTASISTAも愛の話でしたけれども。でしたけれどもここまで直球で天使の純愛を繰り広げられた上で、ラストにルルティアちゃんのアラベスク流されるともう客席に沈むことしかできないのですが……二人に降り注ぐ光が……綺麗だね……(顔を覆う)

初日の感想を掘り出したので貼っておきます。この方が早いわ。

もはや男のクソデカ感情のカタログみたいになってた……カタログギフトかな……

大好きな脚本演出家の作品を観に行ってマジで好きな俳優さんしか出てねぇって思いながらあらためてポスター眺めつつ客席に座ったら大好きなタイプのクソデカ感情をひとつひとつ乱雑に口に押し込まれた。これはだめだ。お口が贅沢になっちゃう。座ってるだけで大好物を次々と口に押し込まれる。こわい。

18.骨と十字架

PANDORA終わるまで他のものは何も手につかないな! ってなったので千穐楽後にチケットを取っていたのですが、こっちもこっちで男のクソデカ感情が渦巻く大変なお話でした……。あとセットがすごく好みでした。ロビーにいろいろ展示されてて、開演を待っている間も楽しかった。

あのメガネ好きに決まってんじゃんってなりつつ、一番気になったのは白いえらい人でした。主人公と対立する立場ではあるけれど、一人で祈りを捧げる姿が光に包まれてあまりにも美しく、だからこそ結局、主人公に一番寄り添っていたのも彼だった、ように見えました。

19.舞台 スタンレーの魔女

行けなくなった友人の代打で行ったのですが、声をかけていただいて観に行けて良かったです。個人的に、戦争モノをお涙頂戴ストーリーだけで進めるのが好きではないというか苦手なので、こういう作品なら観たいのですが探すのが難しいし、自分からわざわざ探すこともない。

ラストシーンというか終わり方が原作漫画よりも更に尖らせた勢いで、主人公の感情の頂点で爆発させる感じがしてすごく好きでした。そこに至るまでの感情とストーリーの積み重ね方も原作と舞台で違っていて、厚みを持たせる部分の選択と重ね方が好きだなって思ったので、基本的に御笠ノさんの脚本の、各要素の重ね方とその結末のつけ方が好みなんだと思う。

20.ミュージカル 刀剣乱舞 葵咲本紀

三百年で信康の話をして、そのあと秀康・貞愛・秀忠兄弟の話をするとかそんなことってある??????? あったわ。刀ミュで一番泣いたのが三百年のラストだったので、そこに繋がる話ってわかっていたのにぶん殴られた。

前作からの積み重ねと新たなエピソードの仕込み方があまりにも好みすぎてずっとぐえぐえ唸ってたけど、結果的に「つるまるくにながさんずるい」って言いながら遠のいた意識が帰ってきました。超ベビーフェイス美少女でイラスト通りの細身の体躯にレベルカンスト男前ってずるすぎる。仕方のないことだった。あと観るたびに村正ちゃんのことが好きになる。これも仕方のないことだった。

しかし刀ミュちゃんは毎回意外なところから鈍器のようなものでぶん殴ってくるので、刀で斬られるつもりで行くのに毎回撲殺されてる気がする。今回だと、おてぎねと貞愛、信康と秀康がそれでした。待ってそこから殴ってくるの?????? って驚いているうちに倒れてる。こわい。好き。

21.天守物語

殿に斬られて首輪をつけられて引き摺り回されていた男が大変だった。彼が実の兄に殺されかけながら「あんた何がしたいんだよ!」って叫ぶ声に一番それな! ってなりました。あと亀姫ちゃんかわいい。ぷんぷん小言を言いながらも最後まで筋を通す薄も好き。原作の花釣りのシーンが可愛くて好きなので、こちらでもちゃんとあってニコニコしました。

22.朝彦と夜彦1987

朗読劇。友人に誘っていただいて窪寺さんと谷口さんの回だけ観たのですが、これ演者と演出によってラストの印象が全く別物になるやつでしょ……他の回も観たかった。

原作の菅野彰さんの作品が好きでエッセイも含めていくつか読んだことがあるのですが、人間の感情の地獄を描くのがうまいなぁ……って改めてしみじみと思いました。一見すると本当に何でもないように見えるし笑い話にすらしているけど、直視するとこっちの感情が巻き込まれて気が狂いそうになる。だから詳細な描写はその直前までしか無かったり、回想という形で淡々と語られるだけ、っていう印象。今回だと「小さな木の実」の歌の話……。

23.ミュージカル アルスラーン戦記

推しの顔が百点満点!!!!!!!!!!!!!!!! 美人。歌がうまい。ダンスが可愛い。

アル戦は小説も漫画版も読んでないけど原作の田中先生の他の作品は読んでるし作風も知ってるので完全に伝記・戦記として見ればいいんだろうなって思ったし、その通りだった。そういう意味で完全に原作を知らない人間というわけでもないのですが、ストーリーがわかりやすくまとめられていたので途中で置いてけぼりを食らうこともなく、とても楽しめました。

自分が観る前に見かけた原作ファンである友人たちの感想が軒並み「アル戦だった!! ミュージカルだった!!」だった上、TwitterのTLにきれい並んでいたので笑ってしまったけど、実際観たら確かにその通りだった。

24.MANKAI STAGE A3! ~SUMMER 2019~

ゲームではテキストで読んでるから実際に動いている姿を見ると突然刺さってくるものがあってつまり血まみれヘンリーのことです。なにあれー!? 劇中劇のキャラがめちゃくちゃ好きってそれ困るやつだからー!!

にゃあにゃあしたり海賊だったりの合間合間に団員たちの丁寧で優しい話が展開されるので実は完全に情緒が乱されているけどラストにまとめて完全浄化される。エーステを観ると健康になる。すごい。

25.舞台 幽☆遊☆白書

ぼたんちゃんがあまりにもぼたんちゃんで感動したのと可愛いって叫びたい気持ちを行ったり来たりしてました。あとあのOPラストはさすがに笑ってしまった。あれはずるい。

内容とは関係ないけど、最初の発表時点で出せる詳細をすべて出し切ってしまう制作のやり方はとても大事なことだと思いました。舞台化決定と脚本演出とメインキャストとビジュアルと主な公演詳細が同時発表だった。今回は特に過去の人気作品で、爆発的人気を誇ったキャラクターがいて、っていう状況だったので下手に情報を小出しにすると面倒が多そうだという恐れもあったと思うのですが。今後も出せるだけ出し切って欲しい。他も真似して欲しい。

数年前ならともかく、これだけ舞台化作品が大渋滞を起こしてる今この現状で「舞台化決定しました!」ってだけ告知されてもね、って話。

26.どうしようもなくて、衝動。

たくあん4DX舞台。なんであんなにアグレッシブな展開をするのに起承転結がきれいにまとまるのかいつもわからない。出演者全員がほとんど全裸に近い姿になるのにいやらしさを感じないのも不思議。よくわからないまま株主(FC会員)になったし毎年楽しく通ってしまう。今年も楽しかったです。

毎回オリジナル挿入歌がうますぎてここで聞くやつじゃなくない???? って混乱するし、今回は岩城君の顔がとても良いことに改めて気が付いた。いや知ってたけど唯一観たことがあるのが鉄ミュの狭山だったので(レオちゃんじゃなくて白猫ちゃんがTシャツの中から出てきたので笑ってしまった)

27.GOD OF STARS-食聖-/Éclair Brillant

人生初の宝塚でした。あと今年観た紅孩児2人目だったんですけど、あっちの紅孩児も強かったけどこっちの紅孩児もとても強かった……。ショーの方は、特にボレロの曲に合わせたダンスショーがシンプルに美しくて豪快で、すごく好き。

初宝塚だったのでずっと圧倒されていたので(会場で見る福利厚生の充実ぶりからもういつもと違うので圧倒された)細かいこと何も言えないけどめちゃくちゃ楽しかったです。また行きたい。

あと、親戚から譲ってもらったファンクラブ経由のチケットだったので受け取り方法を見て「Twitterで観たことあるやつだ!!」ってなりました。目の前で見るとすごい。長年の伝統から生まれた統率力がすごい。

28.アイラブユー

ロデオさんの二本立てを一日で両方観てしまおうとチケット取って、一本目(アイラブユー)であまりにも泣きすぎて力尽きて近くのガストで肉の山盛りセットみたいなやつとパフェを食べて、二本目(日本演劇総理大臣賞)で更に号泣しすぎて完全に力尽きました。

あまりにも泣きすぎて心の中でみもり応援上映をしていた(必死)(情緒がもたない)(感情の渦に巻き込まれてしぬ)

あらすじを書くと現代の闇とかそういう話になってしまいそうで、でもここで観たのはそういうものではなくて。憧れから始まる思慕とか尊敬とか、その全く逆の感情とか、そういうものが一人の人間の中で全部ぐちゃぐちゃに渦巻いてるけど、それは自分以外の誰かとの関係の中にしか生まれないもので。しかもその渦が爆発するシーンはどれも静謐な空気の中にあって、だからこそ主人公が回想する夕焼けのシーンがどれも酷く美しく感じました。

登場人物みんなそうだったけど(みもりも!みもり!)一人の女性への『憧れ』の話だった。主人公の女性がその憧れに至るまでの道と、反発と、後悔と、その先へと進む前に、マイクに向かって手向けるタイトルの言葉。

29.日本演劇総理大臣賞

たぶん今年一番泣いたのこれです。事前に聞いてたから追加のハンカチ持って行ったのにぜんぜん足りなくて全部びちゃびちゃにした。

戦中の劇団の話。今この時期にこのテーマの作品をやること自体に意味があるのだろうなって気持ちもあるけど、それとは別に、演劇を愛する劇団員たちの思いを丁寧に描いたこの作品を、今の自分が観ることができてとても良かったと思いました。

記念に台本を買ったら55枚の紙の束だったのでニコニコしてしまった。帰ってとりあえずクリップ付けました。読み返して、表情だとか張り詰めた空気だとかを思い出してまた泣いてしまう。

30.三億円事件

今年観た野木萌葱さん脚本3本目。はちゃめちゃに面白かったし改めて冒頭シーンをもう一回観たい!! ってなりました。冒頭のシーンが物語のラスト直前の、ストーリー全体のエピローグになってる、二度目の観劇が美味しいタイプ。

捜査が進むにつれて登場人物8人のキャラクターや背景もどんどん浮き彫りになっていくのがあまりにも鮮やかでしゅごい……好き……ってうっとりする捜査本部の一室の中で繰り広げられる会話劇でした。今年観た他の2作もそうだったけど、会話の言葉選びとテンポがとても好きなので来年も機会を見つけて観に行きたいです。

31.舞台 四十七大戦

ラップバトルした。ラップバトルした! あのひぷすてよりも先に!

でもラップバトルで大正解だったのですごいなって思いました。どうしても説明セリフが多くなってしまう戦闘シーンをどう表現するか、って考えた時にこれを思いつくのはすごい。あとそもそも固有名詞が多いからラップにするとすげぇ面白い……梨の品種名を並べて歌うだけで面白い。ずるい。

スポンサーを武器(物理)にするな。楽しかったです。いましょ強い。

32.ミュージカル 青春鉄道 コンサート Rails Live 2019

「みなも一緒に歌うといい!」「兄さんこれ新曲だよ!?」っていう無茶振りも普通に飛び出す。そう、鉄ライならね。

いや待ってライブってなにするの???? って思ったら本当にライブをしよった。正確に言えば路線さんたちがライブの準備をするところから始まったし舞浜のステージに高崎翔太くんが飛び交っていた。すごかった。プロの倒れ方がすごくて心配になる(びたーん! って効果音が見える)。本当に忙しいはずなのによくスケジュールねじ込んでくれたなって思いました……めちゃくちゃ感謝してるけどやってることはアレなんだよな……(役のせいで)

ラストの新曲がとても良い曲で、なんか後ろで愉快な映像が流れてた気がするのに泣きそうになって。そしてとても楽しくて。直後にあったことは本当に悲しかったけれど、彼がいた会場がキラキラしてて楽しかったことはちゃんと覚えていたい。

33.舞台 血界戦線

ジャズバンドの生演奏あまりにも贅沢過ぎた……最高でした。生演奏を含めた各楽曲に合わせたイメージシーンも戦闘シーンもめちゃくちゃに楽しかったです。西田さんのライティングと音楽と役者さんの動きと舞台装置の動きがぴったりとかみ合って動くの最高に好きなのでとても嬉しい。所持金ギリギリだったのにあまりにも楽しかったのでブロマイドのライブラセット買ったしかいちーのアリギュラちゃんがあまりにも可愛くて個ブロ買いました。さんきゅーカード決済。ライビュも慌てて取りましたよ。

Twitterのフォロワーさんに原作ファンの方が多かったので、毎日反応や感想を超笑顔で読ませていただきました。ジョカステとかでもそうだったけど、西田さんの舞台を観て原作ファンの方が喜ぶ姿を見るのがめちゃくちゃ嬉しい。何目線なんだって自分でも思いますけど、好きな人が褒められたら嬉しいじゃないですかー! そして私も原作読んでめっちゃ楽しかったので舞台も続編よろしくお願いしますー!

34.PSY・S

リオンちゃんかわいいよおおおおおお!!!!!!! ってびったんびったんしながらルパンの足の長さにひええってなりながらディマリアにずぶずぶになりました。仕方のないことだった。いやしかし属性盛りすぎでは???? って思いながら初演のVHSを観たら三人分の設定をディマリア一人に盛った上で更になんか乗せてた。ジェンガかよ。PANDORAでも見たわそれ。

でも勝吾くんにどんどん盛りたくなる気持ちはとてもよくわかるので引き続きもっとやってください西田さん、の気持ち。あと初演のバートン(=ミケランジェロ)よりもディマリアの方がメアリーへの距離の詰め方が激しくて笑ってしまった。精神的にも物理的にも近い。

ホームズとワトスンとドイルと教授とルパンとダヴィンチとミケランジェロをひとつの舞台に全部乗せ欲張りパックって感じ。西田さんの全部乗せ欲張りパック大好きなので過去作再演でも新作でもどんどんやって欲しいです。

そんな感じで2019年の観劇ログでした。どれも楽しかった!

 

2019年の上半期(1月から6月まで)のログはこちらからどうぞ。

2019年観劇ログ*上半期
毎年何かしら書こう書こうと思って頓挫し続けていたので、今年こそは何かちょっとでもあとから思い出せるように記録しておこうと思って。円盤が出ない作品も多いからね。 というわけで2019年ですがDisGOONieを1年に3本もぶち込まれてお財布も...